洋楽歌詞を逐語訳する人

鬱っぽい洋楽の歌詞を正確な文法的理解に基づいて訳します.リクエストなど随時お待ちしております.

Alice in Chains - 'No Excuses' 歌詞 和訳 逐語訳

こんにちは.

洋楽の歌詞の意味を調べても、なかなか出てこない...誤訳も多い...と感じることが多いので、ついに自分でやろうと思いました.

歌詞解釈は、その曲に対する思い入れが深まるばかりでなく、語学的な勉強にも役立ちます.しかし文法的に誤った解釈は、その作品までも歪めてしまいます.

がんばっていきましょう.

今回は、Alice in Chainsの'No Excuses'という曲の歌詞を和訳、逐語訳します.

この曲は、Gt.Cho.のJerry Cantrell が、Vo.のLayne Staley に送ったものとして知られています.バンドの曲の中でも比較的明るめの曲と言えるでしょう.


Alice In Chains - No Excuses (1080p HQ)

 

It's alright. There comes a time.

大丈夫  時が来た

(↑ There comes...は倒置.The BeatlesのHere Comes The Sunと同じ.)

 

Got no patience to search for peace of mind.

心の平穏を探す忍耐は無くなった

(↑主語は書かれていないが、おそらく'I'であろう.mindは様々な訳が可能だが、peace of mindの時は大抵「心の平穏、安らぎ」で訳される.)

 

Layin' low, want to take it slow.

低く横たえる(横たわる?) のんびりやっていきたい

(↑ layは普通他動詞で「横たえる」.しかし目的語が無いので、「横たえる」対象を省略している.考えやすいのは、'myself'を省略している場合.この時の訳は「横たわる」となる.take it slowは熟語.slowが副詞的に使われている.)


No more hiding or disguising truths I've sold.
隠れることも、自分が売った真実を取り繕うことも、もうしない

(↑No moreは、hiding とdisguisingの両方にかかっている.sell a truthという熟語は調べても見当たらなかったので、直訳してある.)


Everyday it's something hits me all so cold

毎日寒々と私を打つ何かがある

(↑本歌詞の中で一番解釈が難しい.it's something hits meという時点で文法的におかしい.hitsが三人称単数現在形であるのを鑑みると、somethingとhitsの間に関係代名詞thatが省略されていると考えてはどうだろうか.その場合itとthatで強調構文が現れるが、そこは訳出しなくてもどうにかなる.言いたい事はこの訳で出ているように思う.)


Find me sittin' by myself. No excuses, then I know

1人で座っている自分を見つけてくれ.その時に言い訳出来ないことが私にわかる

(↑命令文.by myself は alone と同義.No excuses, then I knowは、おそらく倒置.元の文は、Then I know (that I have) no excuses.とでもなろうか.)

It's okay

いいんだ


Had a bad day

嫌な一日だった

(↑おそらく主語は 'I'.)


Hands are bruised from breaking rocks all day

一日中岩を砕いていたせいで手は傷だらけだ


Drained and blue, I bleed for you

疲れきって顔色も悪いが、私は君のために血を流している(心を痛めている)

(↑drainは「~を排水する」という意味だが、drained expressionで「疲れきった表情」を表す場合もあるようだ.余談だが、Nirvanaの曲に'Drain You'というものがある.drained and blueは文法的に見ると分詞構文のように思われる.つまり、As I am drained and blue,...という解釈になり得る.bleed for you は、直訳すると「君のために血を流す」となるが、転じて「心を痛める」という意味もある.どちらでもよい.)


You think it's funny, well you're drowning in it too
君は面白いと思ってるんだろうが、いや君もその中に溺れているんだ

(↑in it におけるitの内容は明示されていないが、'I'と'you'の関係と捉えてもいいかもしれない.)


Everyday it's something hits me all so cold

毎日寒々と私を打つ何かがある

Find me sittin' by myself. No excuses, then I know

1人で座っている自分を見つけてくれ.その時に言い訳出来ないことが私にわかる

 

Yeah, it's fine

ああ、いいんだ


We'll walk down the line

私たちは線に沿って歩いていく

(↑walk down the lineというフレーズは、Bob Dylanの曲にも見られる.文字通りの意味というよりは、もっと示唆的なものであるようだ.)


Leave our rain, a cold trade for warm sunshine

私たちの雨は放っておいて、暖かな日差しと冷たく引換える

(↑our rainが何かが難しいが、普通rainに所有はつかないので、weの関係性の中におけるrainと考えた方がいい.すなわち、ケンカや諍いといったものか.そういったものは置いておいて、暖かな日差しとtradeする、しかしそれも冷たいものであるということが歌われている.)


You my friend, I will defend

友である君を私は擁護する.

(↑これも倒置である.You my friendで呼びかけている意味もある.)


And if we change, well I love you anyway
私たちが変化しても、結局君を愛するだろう


Everyday it's something hits me all so cold

毎日寒々と私を打つ何かがある

Find me sittin' by myself. No excuses, then I know

1人で座っている自分を見つけてくれ.その時に言い訳出来ないことが私にわかる

 

 

以上です.解釈した上で不可解な部分もあると思いますが、歌詞ってそんなものです.

これからもよろしくお願いします.

 

今回訳したAlice in Chains のNo Excusesは、EP'Jar of Flies'に収録されています.

 

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また、この曲のMTV Unpluggedでの演奏は名演ですので、ぜひお聴きください.